ムーンライトシャドウ

独りぼっち。

 

 

別に、この生き方が寂しいとは思わない。

 

 

この方が楽なんだ。

 

 

他人に深く入り込んで傷ついたり、嫌な気持ちになるのはもううんざりだ。

 

入り込まれるのも気持ち悪い。

 

もう二度と、誰とも関わり合いになんてなるつもりはない。

 

 

でもやっぱり寂しいのでジュレットの町に出かけた。

 

 

 

 

駅から出てすぐ、怪しげな男に声をかけられた。

 

 

 

 

キャッチだった。

 

 

 

私に声をかけてくる男はキャッチくらい。

 

 

 

 

でも、こんな私が誰かに必要とされるなんて...

 

 

 

私は、金、暴力、女という言葉がとてもよく似合うこの男について行った。

 

 

 

 


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これが、自分探し、なのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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でもまさか、イカダで海に出る事になるなんて。

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イカダには私と同じような目をした連中が何人もいた。

 

 

 

 

きっと彼らもどこかで失くしたナニカを探しているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は陸を探している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6日目の朝、イカダにイカが乗ってきた。

遭難しただけでもパニックなのに大量のスミを吐いて暴れまわるイカを見て

パニックになった。

落ち着いてから周りに目をやると、1人減っていた。

パニックになった。

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7日目、またイカだ。

イカダにイカがやってきた。

この日は、スミと共に肉を吐いた。

嫌な考えが頭をよぎった。

何の肉だか考えたくもないし知りたくもないが、もしかしてこれっていなくなった人の肉なんじゃないか?

この場合も海の幸なのだろうか?

食べたらみんなに変な目で見られそうだから我慢した。

一昨日から何も食べてない。

お腹がすいた。

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8日目の夜、あの肉はいなくなった男の人の肉だった。

ギリギリセーフ。

これでまた8人揃ったね。おかえりなさい。

この日もイカダにイカがたくさん乗り込んできた。

もはやどうじることもない。

わたしたちはみんなおなかがすいているのだ。

おなかがすいているのだ。f:id:seafoodsix:20190725101650j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに島を見つけた私たちはイカダを漕いだ。

必死で漕いだ。

ジュレットからすぐ近くの小島にたどり着いたようだ。

私は、私たちは一体何をやっていたのだろう。

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何をさせられたのかもわからず、身も心もすり減らした。

そんな私たちにあの男が差し出したのは福引券30枚。

たったこれっぽっち。

私の命は福引券30枚。

覆面をしていてもわかる、ニヤケた声色だ。

ハハ、と乾いた笑いで受け取った。

これが私なのだ。私の価値なのだ。

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こんなの私じゃない。

 

 

 

 

 

 

私は、もう二度と誰とも関わり合いにならないと決めた。


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