平岡くんと大野くん 

平岡

「あー、またカード売ってねーよ!」

 

大野

「仕方ないよ、高校生の俺らにゃ買えないって」

 

平岡

「何だよ夜中に売り切れって、転売屋ってホントムカつくなぁ!

お金の為に子供のおもちゃ買い占めるとか恥ずかしくねーのかよ」

 

大野

「俺たちゃそうならないようにしようぜ?」

 

平岡

「ぐむむむむ...

ダメだ、許せねー、俺は怒ったぞ」

 

大野

「お前思い詰めると何するかわかんないからな、変なことするなよ?」

 

平岡

「わぁかってるって」

 

 

 

翌日

 

 

 

平岡

「見てくれよ大野!これだけ集めたぜ!」

 

大野

「うお!すげーな!どうやったんだよ!」

 

平岡

「学校帰ってから小遣いかき集めて寝ないで市内を回って買えるだけ買った」

 

大野

「何してんの!?

変なことするなって言っただろ!?」

 

平岡

「そんなこと言ってられないだろ!!

俺はな、これからこのカードを本っ当に欲しい人たちに届けるんだ!!俺みたいな悲しみを背負った子供をこれ以上増やさない為に!!」

 

大野

「お前まさか、直接届けに行くつもりか!?」

 

平岡

「いやいやお前ー、そんなわけないだろー?

冷静になれー?」

 

大野

「お前が言うんだ」

 

平岡

「とにかく!

今日俺学校休むから、よろしくな!」

 

大野

「わかったけど、無茶はするなよ!?」

 

平岡

「わぁかってるって」

 

 

 

数日後

 

 

平岡

「おはよう」

 

大野

「お前、ずっと学校休んで何やってたんだよ」

 

平岡

「なんでも売れるサイト、あるだろ?

あそこでカード売ってた」

 

大野

「なんでーーー!?」

 

平岡

「まあ聞けよ、な?聞けってば、な?聞け?」

 

大野

「聞いてるよ!」

 

平岡

「カードだってタダじゃないんだ『本当に欲しい人の元に届けたい』『小遣いも回収したい』『両方』やらなくっちゃあならないのが『平岡』のつらいとこだな」

 

大野

「お前が勝手に始めたんだろ」

 

平岡

「だろ?だからほんの少し、数十円だけ高くして販売したんだ、これが売れに売れて思ったわけよ、これ買ってるの転売屋じゃないのか?ってね」

 

大野

「何してんの?」

 

平岡

「だから、値段を上げた」

 

大野

「え?」

 

平岡

「転売屋より安く買い漁られないくらいには高く、具体的に言うと1枚800円前後だ

これを思いついた時は震えたね、俺は天才かと」

 

大野

「てっ」

 

平岡

「これで本当に欲しい人の元に届く上に俺の小遣いも回収できる、むしろ儲かったくらいだ

子供達の喜ぶ顔が目に浮かぶぜ」

 

 

 

大野

「てーんばーいやーーー!!」